「担当者が不在だと、支払の承認が進まない」
「業務がブラックボックス化していて、ミスが起きても原因が特定できない」
経理部門において、こうした属人化や業務の不透明さに頭を悩ませている担当者や管理職の方は少なくありません。経理業務は企業の根幹を支える重要なプロセスですが、その手順が個人の経験や記憶に頼ったものになっていると、組織としての継続性に大きなリスクを抱えることになります。
本記事では、経理業務フローを可視化し、誰でも迷わず正確に業務を遂行できる体制を築くための具体的なステップを解説します。エクセルを活用したフロー図の作成法から、支払いミスを防ぐチェックポイント、さらには業務分担表の作り方まで、実務ですぐに役立つノウハウを凝縮しました。
「何から手をつければいいかわからない」という初心者の方でも、この記事を読み終える頃には、自社の経理体制を一段上のレベルへ引き上げるための明確な道筋が見えているはずです。
そもそも経理の業務フローとは何か

経理部門において業務フローを整えることは、単なる作業の可視化以上の意味を持ちます。それは、企業の血液とも言えるお金の流れを正しくコントロールするための羅針盤となります。
経理業務の基本的な流れと役割
経理業務は、日々の取引を記録する仕訳から始まり、月次の試算表作成、そして年次の決算報告へと繋がります。
これらの各プロセスが正しく機能することで、経営陣は正確な数字に基づいた意思決定を行うことが可能になると考えられます。
なぜ今「可視化」が求められているのか
働き方改革やテレワークの普及により、従来のような「隣の人の作業を見て覚える」という手法が通用しなくなっています。
誰が何をしているかを明確にする可視化は、業務の属人化を防ぎ、組織の継続性を保つために不可欠な要素と言えるでしょう。
経理業務フロー図の作り方と便利なツール

難しく考えられがちなフロー図作成ですが、身近なツールを活用することでスムーズに進めることができます。
まずは身近なツールで可視化!エクセルやクラウドツールを使い分けるコツ
業務フロー図の作成には、Miro(ミロ)やCanva(キャンバ)、Figma(フィグマ)といった直感的に操作できるデザインツールや、クラウド型のホワイトボードツールを活用するのが理想的と言えるでしょう。
一方で、新しいソフトの導入や操作習得に高いハードルを感じる場合は、まず手近なエクセルから着手するのも一つの方法です。
多くの企業で導入されているエクセルは図形機能が備わっており、セルの枠線をガイド(目印)にすることで、特別な専用ソフトを導入しなくても、見やすく整った図面を比較的簡単に作成できるかと思います。まずは「現状を可視化すること」を最優先とし、慣れ親しんだツールで最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
エクセルテンプレートで工数を大幅に削減する手順
ゼロから図を構築するのは時間がかかるため、インターネット上で公開されているテンプレートの活用を推奨いたします。
自社の業務に最も近い形のものを選び、不足している工程を書き加えるだけで、作成工数を大幅に短縮できるはずです。
図解で見やすくする記号の使い分けと基本ルール
処理は四角、判断はひし形といった基本的なルールを守ることで、誰が見ても直感的に理解できるフロー図になります。
情報の流れは上から下、または左から右へ一方通行に流れるように配置するのが、見やすさを保つコツと言えるでしょう。
具体的な経理業務一覧の構成例
ここからは、実際の業務に即したフローの設計例を具体的に見ていきましょう。
入金管理と売掛金回収のステップ
請求書の発行から入金確認、消込作業までの流れを整理します。
特に入金が遅延した際の連絡フローをあらかじめ決めておくことで、現場の担当者が迷うことなく迅速な回収アクションを起こせるようになります。
買掛金管理と支払実行|二重払いを防ぐ「支払いフロー図」の設計
支払業務における最大の懸念は、ミスによる二重払いや過払いです。
これらのリスクを未然に防ぐためには、「職務分掌(担当者を分けて相互牽制を働かせること)」を明確にしたフローを構築することが不可欠と言えます。
具体的には、請求書の照合担当者と支払の実行承認者を物理的に分けるなどの対策が挙げられます。このようにチェックポイントごとに役割を分離し、組織的な相互チェックが機能する仕組みを整えることで、金銭事故のリスクを最小限に抑えられると考えられます。
経費精算から仕訳入力までのプロセス
従業員による経費申請から、領収書の回収、内容の精査、そして会計ソフトへの入力をフロー化します。
差し戻しが発生する基準を明確にしておくことで、経理担当者と申請者の双方のストレスを軽減できるのではないでしょうか。
経理業務分担表で「誰が・何を」を明確にする方法
フロー図が完成したら、それぞれの工程を誰が担当するのかを示す業務分担表を作成します。
主担当だけでなく副担当も決めておくことで、急な欠勤や退職の際にも業務が滞らない強固な体制が構築できるかと思います。
経理業務を可視化する際の注意点

可視化を成功させ、形骸化を防ぐためには、いくつかの重要なポイントがあります。
現場の実態と乖離したルールを作らない
理想のフローを追い求めるあまり、現場の負担が増えすぎては意味がありません。
現在のやり方を丁寧にヒアリングし、無理なく継続できる現実的なルールを策定することが、定着への近道と考えられます。
フロー図とマニュアルの使い分け|全体像と詳細手順の整理
フロー図にすべての詳細を書き込むと、かえって見づらくなってしまいます。
全体像はフロー図で、システムへの入力方法などの詳細手順はマニュアルで管理するというように、役割を分けることが賢明と言えるでしょう。
変更履歴を残して最新版を管理する
業務内容は法改正や組織変更に伴って常に変化します。
いつ、誰が、どこを変更したのかの記録を残し、常に最新のフローが現場で共有されている状態を維持する仕組み作りが重要です。
ITツールやテンプレートの活用で入力作業を大幅に削減する
手作業の限界を感じた場合は、クラウド会計ソフトなどの導入を検討する時期かもしれません。
API連携などを活用して自動化できる範囲を広げることで、経理部門はより付加価値の高い分析業務に時間を割けるようになるかと思います。
経理の業務整理のフロー作成に関するQ&A

経理業務の可視化を進めるにあたって、現場でよく直面する疑問や懸念事項をまとめました。導入後の運用をスムーズにするための参考にしてください。
Q1.どこまで細かくフローを作成すべきですか?
A.まずは大きな流れ(日次・月次・年次)を把握することから始め、徐々に詳細を肉付けしていくスモールステップをお勧めします。
最初から細部までこだわると完成までに挫折しやすいため、全体の8割程度の完成度を目指すのが良いでしょう。
Q2.エクセル管理と専用システムのどちらが良いですか?
A.初期コストを抑えたい、あるいは自社独自のルールが非常に多い場合はエクセルが適しています。
一方で、人為的ミスを減らし、リアルタイムで経営数値を把握したいのであれば、専用システムの導入に分があると考えられます。
Q3.自社でフロー作成や可視化が難しい場合の解決策はありますか?
A.社内リソースだけで完結させようとせず、アウトソーシング(外部委託)やコンサルティングを活用する方法があります。
専門家が第三者の視点で業務を棚卸しすることで、社内では気づけなかった無駄が発見され、最短で「属人化しない体制」を構築することが可能になります。
特にBPIOでは、単なるアドバイスに留まらず、貴社の実務に深く入り込んだ「業務の棚卸し」と「フローの再構築」をワンストップで支援しています。第三者の客観的な視点を入れることで、社内では当たり前になっていた無駄やリスクを発見し、最短距離で「属人化しない、誰でも回せる体制」を構築することが可能になります。
まとめ:適切な業務フローの構築で経理の悩みを解決する

経理業務の可視化は、単なる記録の整理ではありません。 それは、属人化というリスクを取り除き、ミスを防ぎ、従業員がより専門性の高い業務に集中できる環境を整えるための「未来への投資」です。
本記事を参考に、まずは身近な業務のフロー化から手をつけてみてはいかがでしょうか。
もし、「日々の業務が忙しく、フロー作成にまで手が回らない」「どこから手をつければいいか判断できない」という場合は、ぜひBPIOへご相談ください。BPIOでは、貴社独自の課題に合わせたオーダーメイドの業務改善案を提示し、実務の運用定着まで伴走いたします。
組織の基盤をより強固なものにするために、プロの知見を活かした業務改善を共に進めていきましょう。
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