インボイス制度とは?経営者や経理担当者が知っておくべき内容を簡単に解説

2024.07.10

インボイス制度とは?経営者や経理担当者が知っておくべき内容を簡単に解説

2023年10月1日よりインボイス制度が開始されました。適用事業者にとって、制度開始後はじめての申告が終わるまでは、不安が多いのではないでしょうか。
本記事では、インボイス制度開始後に経営者や経理担当者にとって知っておいて欲しい内容について解説しています。
インボイス制度以外の法律との関連性も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

インボイス制度とは?

インボイス制度とは、売手側が買手側に対して、正確な適用税率や消費税額等を請求書や納品書により伝えるものです。この制度を適用するためには、適格請求書の発行が必要です。その発行には、一定の事項の記載が求められています。

これらの記載がない場合には、適格請求書として認められず仕入税額控除が適用できないなど税務申告において不利になるため、経営者や経理担当者は注意しましょう。

適格請求書は一定の事項が記載されている書類

適格請求書として認められている書類は、主に請求書や納品書などが該当します。そのため、これらの書類で必要記載項目の事項を満たしていなければなりません。ここで求められている必要な記載項目は、以下の6つです。
1.適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4.税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)
5.税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率
6.書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
適格請求書の種類には「適格簡易請求書」と呼ばれるものもあります。これは、発行できる業種に限りがあり、誰でも使用できるものではありません。この発行が認められている業種は以下のとおりです。
1.小売業
2.飲食店業
3.写真業
4.旅行業
5.タクシー業
6.駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)
7.その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業
上記は、特定の取引先がなく不特定多数を取引対象にしている業種です。一般的にイメージしやすいものに、コインパーキングがあります。例えば、仮に請求書発行時にコインパーキングの利用者の氏名や名称を記載することは、実務上困難です。そのため、事業者の氏名や名称が不要である適格簡易請求書が活用できます。

また、適格請求書に必要な記載事項とはやや異なり、それは以下の内容です。
1.適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4.税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)
5.税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率
両者に必要なものは、登録番号(13桁)です。この番号は税務署に申請することで取得できます。法人の場合は法人番号の前にTが付きますが、個人の場合はマイナンバーと被るものは使用しません。いずれも申請することで税務署から通知が届きますから、大切に保管しておきましょう。

売手側の対応

買手側である取引相手(課税事業者)からインボイスの交付を求められたとき、売手側が適格請求書発行事業者の場合は応じなければなりません。そのため、国税庁へ適格請求書発行事業者の登録をしていない場合、それ自体がデメリットとなり取引に影響を及ぼす可能性があります。特に免税事業者の場合、取引額の減少などが懸念されます。

免税事業者からインボイス制度に対応するために課税事業者になった場合には、経過措置として「2割特例」が適用できます。受け取っている消費税額の2割を納税すればよく、これは令和8年9月30日まで認められており、適用するために特別な届出等は不要です。

買手側の対応

仕入税額控除の適用を受けるためには、取引相手(売手側)である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要です。これは正しく税務申告することが最終目的であるため、従前からある帳簿と請求書の保存は実施しなければなりません。

もし、取引先からインボイスが発行されない場合には、依頼することができます。ただし、取引相手が免税事業者の場合は、その発行できないため、仕入税額控除が受けられません。この場合は、免税事業者からの仕入額の8割にあたる消費税額を、仕入税額控除として差し引くことができます。ただしこれは経過措置であり、令和8年9月30日まで適用可能です。以降、令和11年9月30日までは50%、さらにそれ以降は適用できないため注意しましょう。

インボイス制度と仕入税額控除

仕入税額控除とは、課税売上の消費税額から課税仕入れの消費税額を差し引くことです。インボイス制度開始後、仕入税額控除を受けるためには適格請求書が必要になりました。

以前より、インボイス制度の導入に関係なく、課税事業者は税務申告時に仕入税額控除を適用しています。その控除ができないと、仕入や経費で支払っている消費税を自社の売上から差し引くことができません。また、二重課税防止の意味も含まれているため、課税事業者にとっては重要です。

インボイス制度と電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、税務関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認めた法律です。具体的には、電子データで保存したりPDFで保存したりします。

インボイス制度では、そもそも請求書等を紙と電子のどちらで保存しても問題はありません。ただし実務上、法人は請求書は7年間(欠損金がある場合は10年間)の保存義務があり、保管場所や書類の量によっては電子帳簿保存法に対応するのがベストだと言えます。

また、電子帳簿保存法はデータ改ざん防止のためのルールも徹底されているため、インボイスの内容をより正しいものとして証明できます。

まとめ

インボイス制度は、複数税率でも誤りなく仕入税額控除を適用し、正確な消費税額を計算できます。請求書や納品書などに記載しなければならない項目が決まっているため、漏れがないようにすることが、経営者や経理担当者にとって重要です。

インボイスの様式をはじめ、会計帳簿の作成など細かく記載しなければならないため、作業が煩雑になります。インボイス制度に適用したために、コストが増加したりミスが発生し安くならないためにも、経理代行を活用すれば安心です。うまく活用すれば、本業に集中できるだけではなく、人手が足りない業務に人員を配置できるでしょう。

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