ひとり企業が経理アウトソーシングを利用するメリット・デメリット|選択のポイントも

2024.08.08

ひとり企業が経理アウトソーシングを利用するメリット・デメリット|選択のポイントも


 最近では多くの企業が業務の全体または一部を外部委託するアウトソーシングを採用しています。経理業務もその例外ではありません。高度な専門知識と経験が求められるため、アウトソーシングによって業務の効率化や生産性向上が期待されています。ただし、経理をアウトソーシングすることによって生じる潜在的なリスクも無視できません。

 そこでこの記事ではひとり企業による経理アウトソーシングのメリットとデメリットについて詳細に解説します。適切なアウトソーシング先を選択するポイントについてもご紹介しますのでぜひご参考にしてください。

経理アウトソーシングとは

 経理アウトソーシングとは、企業が経理業務の一部または全部を外部企業に委託するサービスのことを指します。「BPO」「代行」「業務委託」と呼ばれることもあります。

 ひとり企業としては経理アウトソーシングを採用することで、高度な専門性を持つ外部業者に経理業務を委託することができ、業務の効率化や品質向上が期待できます。

 経理業務には、従来からアナログな作業が多く含まれており、紙による証憑の管理や伝票の処理などの作業が頻繁に行われています。しかし、このようなアナログな業務では効率性や正確性に課題があります。この課題を克服するためには、業務の電子化や専門知識の習得が不可欠です。

 また、人手不足も経理業務における重要な課題の一つです。少子高齢化や労働人口の減少により、経理の専門知識を持つ人材の確保がますます困難になっています。特に、法規制の改定や税務の複雑化に伴い、経理業務の遂行には高度な専門知識と経験が求められます。しかし、限られた人員でこれらの業務を遂行するのは容易ではありません。

 経理代行は、こうした課題を解決する手段の一つとして注目されています。外部業者に経理業務を委託することで、企業は専門的な業務を遂行するための適切な人材やリソースを活用できます。また、アウトソーシングによって業務の効率化やコスト削減も実現できるため、企業の業務遂行能力や競争力の向上に貢献します。

ひとり企業の経理アウトソーシングのメリット

ひとり企業が経理アウトソーシングサービスを導入することによる主なメリットは次の通りです。

スポット適用で人件費を削減できる

 経理代行においては、正社員の採用とは異なり、会社が必要なときだけ外部の助けを借りることができます。「年末のみの協力をお願いしたい」「通常は10時間で十分ですが、年末はもっとサポートが必要です」といった要望にも応えてもらえます。

 正社員を雇うと繁忙期以外は人員が余剰となり、人件費が増加する可能性があります。スポット的な労働力が必要な場合、経理代行を利用することで人件費の削減に繋がります。

教育にかかる費用が不要

 経理の業務をアウトソーシングすれば、経理担当者の教育に要するコストを負担する必要がありません。代わりに業務を行う経理代行会社の担当者はその会社によって管理・教育されています。

 仮に経理担当者を社内で育成する場合、一般的には以下のような資格取得を奨励することになるでしょう。

・日商簿記検定
・ファイナンシャルプランナー(FP)
・経理・財務スキル検定(FASS検定)

 これらの資格取得に必要な書籍やセミナー、受験料などの費用は企業が負担しなければならないことも少なく無いでしょう。また、経験の浅い社員の場合、業務の遂行に時間がかかる上に、指導にも時間を割かなければなりません。

 一方、経理代行を利用すれば、このような教育コストや時間を負担する必要がありません。

専門家に税務や関連法律の管理を任せられる

 経理業務には、例えば次のような税法・関連法律・会計基準の知識が求められます。

a)税務に関する知識

・インボイスの取り扱い
・決算業務や法人税の申告や年末調整の手続き
・給与から天引きされる税金(所得税・住民税など)

b)関連法律に関する知識

・会社法の理解
・企業会計基準
・法人税法の把握

 ひとり企業がこれらの改正に全てひとりで対応することは負担が大きいと考えられます。そのため、アウトソーシングサービスを利用することで負担を軽減することができます。

経理業務の品質を向上させることができる

 経理部門を持つことが難しいひとり企業にとって、経理代行サービスを利用することは業務品質を向上させることに繋がります。

 業務を実施する経理スタッフは、実務経験を持っており、経理に関する豊富な知識を有しています。そのため、高いクオリティを保証することができます。

 また、依頼内容に応じて経理業務の一部のみを委託したい場合もあるでしょう。このような場合、特定の業務に特化したスタッフが対応してくれるサービスもありますので、安心して業務を任せることができます。

経理をアウトソーシングするデメリット

 経理アウトソーシングはコストやリソースの節約につながり、多くのメリットをもたらしますが、同時にデメリットもあります。

取引先情報や経営状況の漏洩リスク

 経理業務の性質上、会社の資金の流れや取引先情報などをアウトソーシング業者に提供する必要があります。この点に対する抵抗感を抱く方も少なくないと考えられます。

 専門性を十分に活かした上でアウトソーシングするには、業者との緊密な連携が不可欠です。情報の機密保持に関しては、契約を通じてセキュリティを確保できます。

 業者を選定する際には、豊富な実績があり、担当者同士が頻繁にコミュニケーションを取ることでリスクを回避できることが重要であると言えるでしょう。

アウトソーシング可能な作業とそうでない作業がある

 経理のアウトソーシングサービスでは、会計入力や書類作成、請求書の管理などの依頼が可能です。通常、これらはオンライン上でのやりとりが主体となるため、オフラインでの対応とは異なる作業フローが生じます。

 たとえば、現金の管理に関しては、オンラインでの振込みは可能ですが、ATMなどで現金を引き出すといった作業は行えないのが通常です。

 また、税金の申告書作成は税理士の資格が必要な業務であり、これをアウトソーシング業者に依頼することはできないケースが少なくありません。

 代行を依頼したい作業が実際に対応可能かどうかは、契約する際に十分に確認することが重要です。

ひとり企業が経理のアウトソーシング先を選ぶ上での重要ポイント

 経理をアウトソーシングする先にはさまざまな企業があり、各社には異なる特長があります。ひとり企業が経理をアウトソーシングする先を選ぶ際には、例えば以下の点に留意する必要があります。

経理業務の代行範囲はどこまでなのか

 サービスを選ぶ際に、業務の範囲を確認することが最初に重要です。

 経理業務全般を完全にアウトソーシングできる場合、コア業務に集中することができますが、予算が制限されていることもよくあります。

 そのため、自社が補完したい業務を事前に把握しておくことが重要です。予算内で代行が必要な業務をカバーしてくれるサービスを選ぶことで、予期せぬ手間や費用を削減できます。

柔軟な対応や相談が可能かどうか

 対応が迅速かつ柔軟であり、経営上の相談に対応してくれるかどうかも確認したいポイントです。中小企業にとって、資金の流れをスムーズに把握することは非常に重要です。

 リアルタイムで資金の動向を把握できないと、明確な経営方針を立てることが難しくなり、仕入れや支払いが滞りやすくなります。

 大企業とは異なり、中小企業は経営判断が遅れると大きな影響を受けることがあります。そのため、経営の基盤が安定しているかどうかは極めて重要です。また、業務改善の提案を受ける際には、事前に業務全体に関するアドバイスも提供してくれるサービスかどうかも確認することが重要です。

まとめ

 長期的な戦略や業務計画を策定する際には、経理部門の効率的な運営が極めて重要です。経理は会社運営において中心的な役割を果たすため、外部委託する場合でも、単なる会計入力だけでなく、信頼できるパートナーとして長期的に連携できるサービスを選択することが重要です。

 適切にアウトソーシングを活用すれば、コストを削減できるだけでなく、業務の効率化や利益の最大化も可能であるといえます。

 この記事を参考にし、経理のアウトソーシング導入を検討してみてください。

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