定額減税の概要とやることについて役割別に解説

2024.07.18

定額減税の概要とやることについて役割別に解説

 定額減税は、家計の負担を軽減し、経済の活性化を図るために導入される重要な政策です。本記事では、給与担当者と給与受給者の両方の立場から、定額減税の概要と具体的にやることについて詳しく解説します。景気対策としての目的や企業活動の活性化にどのような役割を果たすのかについて理解し、実際の手続きをスムーズに進めるためのポイントを押さえていきましょう。

定額減税とは?

 定額減税とは、政府がデフレ脱却のために実施する政策です。現時点(2024年6月現在)では、継続される予定はなく、本年のみとなっています。

定額減税の目的は景気対策

 定額減税の目的は主に景気対策です。そのため、概要を理解しておくことが必要です。

 まず、デフレーションからの脱却が挙げられます。現在、物価は上昇傾向にあり、日常生活において必ずしもデフレーションではありません。しかし、一時的ではなく、長期的な脱却が必要です。定額減税により消費者の可処分所得が増加すれば、消費が活発化し、デフレからの脱却が期待できます。

 次に、賃金の上昇と相まって、国民所得が物価上昇を上回る状況を生み出すことも目的のひとつです。賃金が上昇し、定額減税によって手取りが増えれば、消費活動が促進され、経済全体の需要の高まりが期待できます。

 さらに、デフレマインドの払拭により好循環を促進することも重要です。デフレマインドとは、将来の物価下落を期待して消費や投資を控える心理状態を意味します。定額減税は、このような心理を払拭し、消費や投資を促進することで、経済の好循環を生み出す効果が期待されています。

 また、国民の負担を緩和することも大きな目的です。定額減税により、家計の可処分所得が増加すれば、生活の質が向上し、消費の余裕が生まれます。これにより、国民一人ひとりの経済的な負担が軽減されると言えます。

定額減税の効果は企業活動の活性化

定額減税は給与の上昇が物価高に追いつくまでの一時的な措置です。物価が上昇する中で、給与がすぐに追いつかない場合、定額減税で可処分所得を増加させ、消費者の購買力を維持し、経済の安定を図ります。

 定額減税は所得税や住民税を減税する制度として設計されています。労働者の手取り収入が増加し、家計の余裕が生まれることで、消費や貯蓄、投資に回る資金が増加する仕組みです。

 さらに、扶養親族の数に応じて減税額が増える仕組みです。扶養親族が多い家庭では、生活費の負担が大きくなるため、このような家庭に対してより多くの減税効果が与えられることで、家庭の経済的安定が図られます。

 ただし、定額減税には所得制限があるため、すべての人が対象にはならない点にも注意が必要です。

定額減税のやること【対象者別】

 定額減税には、経理担当者と実際に減税を受ける給与受給者側とでやるべき準備があります。

給与担当者がやること

 給与担当者が定額減税の実施において行うべき具体的な業務は4つに分類できます。

 1つ目は、扶養控除等申告書に記載されている情報の確認です。この申告書には、扶養親族の数や所得などの情報が記載されており、これらの情報を確認することで、正確な減税額を算出する準備ができます。

 2つ目は、不足事項の収集です。申告書に記載されていない情報や、誤った情報が含まれている場合、修正するために従業員から追加の情報を収集しなければなりません。あわせて定額減税の対象となる従業員と、対象外の従業員に対して、それぞれ適切な説明を行う必要があります。

 3つ目は、定額減税の実施状況を確認するための帳簿やソフトの整備です。減税の実施状況を正確に把握し、必要に応じて調整を行うためには、専用の帳簿やソフトウェアを使用したデータ管理が求められます。

 4つ目は、給与支払者が給与等を支払う際に、源泉徴収税額から定額減税額を控除する業務です。実際に支払われる給与額が正確に計算されることで、従業員に適切な金額が支給されるようになります。

給与受給者がやること

 給与受給者が定額減税の適用を受けるために行うべき具体的な手続きは4つに分類できます。

 1つ目は、扶養控除等申告書の提出です。この申告書には、扶養親族の情報やその他の必要事項が記載されており、これを正確に記入し、給与担当者に提出することが求められます。

 2つ目は、扶養親族の人数の確認です。扶養親族の人数に応じて減税額が変わるため、正確な人数を把握し、申告書に正確に記載する必要があります。

 3つ目は、所得制限を超える可能性の確認です。定額減税には合計所得金額が1,805万円という所得制限が設けられています。自分の所得がその制限を超えていないかを確認し、必要に応じて申告書に反映させることが求められます。また、扶養親族の生死や居住状況の確認も必要です。扶養親族が死亡したり、住民票が移動した場合には、これを正確に申告書へ反映させる必要があります。

 4つ目は、所得税の納付状況の確認です。自分が納めている所得税の状況を把握し、正確な情報を基に減税の適用を受けるための手続きを進めます。

定額減税に関するよくある質問

 定額減税は、新しい政策であるため、分からないことも多くあります。そこで、給与担当者と給与所得者に分けてよくある質問を紹介します。

給与担当者向け

 給与担当者向に多い質問は次の3つです。

Q1:月次減税のための申告書の提出は必要ですか?

 月次減税額を計算するに当たって、基準日在職者から新たに申告書を提出してもらう必要はありません。既に提出された扶養控除等申告書に基づき把握することになりますが、扶養控除等申告書に記載していない同一生計配偶者や16歳未満の扶養親族については、別途申告書が必要です。

出典:「令和6年分所得税の定額減税Q&A(6-1)」|国税庁

Q2 : 前月の給与の金額の10倍を超える賞与を支払う場合の源泉徴収税額の計算方法は?

 前月の給与の金額に応じて「税額表に記載された税額」を基に算出し、月次減税額を控除する前の税額で計算します。

出典:「令和6年分所得税の定額減税Q&A(5-3)」|国税庁

Q3 : 各種手当や報奨金・一時金に係る月次減税の適用について教えてください。

 月次減税の対象となる給与等には、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与が含まれます。そのため、名称にかかわらず、各種手当や現物給与、賞与課税される一時金も対象となります。

出典:「令和6年分所得税の定額減税Q&A(7-1)」|国税庁

給与所得者向け

給与所得者に多い質問は次の3つです。

Q1 : 定額減税を受けるためにはどのような手続きが必要ですか?

 扶養控除等申告書を提出している給与所得者については、その主たる給与の支払者のもとで定額減税額の控除が行われます。

出典:「令和6年分所得税の定額減税Q&A(8-1)」|国税庁

Q2 : 同一生計配偶者や扶養親族となっている人の源泉徴収票の記載方法は?

 同一生計配偶者や扶養親族がいる場合、源泉徴収票の「摘要」欄に「源泉徴収時所得税減税控除済額 0円」「控除外額 30,000 円」と記載します。

出典:「令和6年分所得税の定額減税Q&A(2-8)」|国税庁

Q3 : 所得制限を超える人に対する定額減税の適用はどうなりますか?

 合計所得金額が1,805万円を超える人については、年末調整や確定申告で精算を行います。給与収入が2,000万円を超える人は年末調整の対象となりません。

出典:「令和6年分所得税の定額減税Q&A(9-1)」|国税庁

 定額減税に関する手続きや計算は、制度開始が経理担当者にとって急であったことから、時間がないなかでの正確な処理が求められます。作業をミスなく行うためにも、経理の専門知識を持つプロフェッショナルに任せることが重要です。特に、BPOサービスに発注することにより、手間を省き、正確かつ迅速に対応することが可能となります。BPIOでは、このように急な対応が必要な場合にでもご利用いただくことができ、経理担当者にとって安心して定額減税の手続きを進めることができるでしょう。

まとめ

 定額減税に関する手続きや計算は、制度開始が経理担当者にとって急であったことから、時間がないなかでの正確な処理が求められます。作業をミスなく行うためにも、経理の専門知識を持つプロフェッショナルに任せることが重要です。特に、BPOサービスに発注することにより、手間を省き、正確かつ迅速に対応することが可能となります。BPIOでは、このように急な対応が必要な場合にでもご利用いただくことができ、経理担当者にとって安心して定額減税の手続きを進めることができるでしょう。

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