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リコンサイルは、企業の財務状況を正確に把握するために必要な方法です。異なるシステムや部門間で発生するデータの食い違いを解消し、企業全体の信頼性向上につながる重要な作業といえます。リコンサイルの重要性とやり方について詳しく解説していきます。
リコンサイルの目的とは取引記録を照合すること
リコンサイルは、企業の財務状況を正確に把握するために必要な方法です。データの不整合を解消すれば、経営判断の誤りを防止し企業の信用力向上につながります。
例えば、銀行口座の残高と会計システムの残高が一致しないなど、異なるシステムや部門間で発生するデータの食い違いを解消することが可能です。代表的なリコンサイル作業には、金融機関で行う取引相手との約定照合や、証券保管先との証券残高照合があります。
正確なデータに基づいた経営を行えば、顧客への信頼を獲得し、長期的な関係構築につながります。
リコンサイルの対象は部門間の取引記録
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部門間取引記録は、企業全体の収益やコストを正確に把握するために不可欠な情報です。部門間の取引が正確に記録されなければ、企業全体の業績評価が歪み、適切な経営判断が難しくなります。
各部署で独立して管理されている取引データには不一致が生じる可能性があり、リコンサイルが必要です。
例えば、販売部門と生産部門間の製品の受け渡し、経理部門と各部門間の費用精算などがあげられます。典型的な部門間取引記録のリコンサイル対象には、以下の3つが挙げられます。
- 販売部門と生産部門間の製品出荷数量
- 経理部門と各部門間の費用精算額
- 人事部門と各部門間の従業員情報
上記のような取引データの場合、整合性を確保すれば、誤りを早期に発見し、改善可能です。部門間の取引記録を照合し調整すれば、部門間の連携が強化され、企業全体の業務効率の向上が期待できます。
リコンサイルを行う3つのメリット
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リコンサイルを行うメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
- エラーの早期発見と修正による信頼性向上
- 正確な財務状況の把握と適切な経営判断
- 内部統制の強化とリスク管理
エラーの早期発見と修正による信頼性向上
リコンサイルによって、情報の不一致や記録の誤りなどを迅速に特定し、修正できます。その結果、財務報告の信頼性を高めることが可能です。投資家や取引先からの信頼も獲得できます。
正確な財務状況の把握と適切な経営判断
リコンサイルにより、正確な財務データに基づいた経営判断が可能です。損益計算書や貸借対照表などの財務諸表の分析は、企業の収益性や財務状況を正確に把握できます。企業の経営効率化や収益性の向上に役立ち、適切な投資や事業戦略が立てられます。
内部統制の強化とリスク管理
内部統制の一環として、照合・調整作業が重要な役割を果たしています。不正行為や誤りの発生を防止し、企業のリスクを軽減する効果が得られます。継続的かつ計画的なリコンサイルの実施は、監査対応においても重要な評価項目です。
リコンサイルで解消できる6つのリスク
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リコンサイルで解消できるリスクには、主に以下の6つが挙げられます。
- システムリスクの軽減
- 人為的ミスによる事務リスクの低減
- 信用リスクの低減
- 流動性リスクの軽減
- 法務リスクの軽減
- その他のリスクの軽減
システムリスクの軽減
システムエラーによるデータ不整合は、企業全体の業務に大きな影響を与える可能性があります。複数のシステム間でデータのやり取りをすれば、システムの不具合や設定ミスにより、データの整合性が失われてしまいます。
ERPシステムと会計システム間のデータ連携において、仕訳データが正しく連携されないなどがシステムリスクです。
リコンサイルを活用し、システム間のデータを定期的に確認すれば、システムエラーによるリスクを最小化できます。
人為的ミスによる事務リスクの低減
人為的ミスは、どれだけ注意深く作業を行っても防ぎようがありません。データ入力ミス、二重計上、未計上など、人為的ミスは、財務データの正確性を損なう原因になります。
例えば、請求書の金額や日付の誤入力により、顧客からクレームが発生する、などが挙げられます。
人為的ミスを早期に発見し修正できれば、事務処理制度の向上が可能です。
信用リスクの低減
企業の信用力は、ビジネスの成功に不可欠です。取引データの不正確さや不正行為は、企業の信用を失墜させ、取引停止や資金調達の困難につながる可能性があります。
財務諸表の虚偽記載が発覚し、企業イメージが大きく損なわれるなどが挙げられます。リコンサイルにより、取引記録の精度を高め、企業の信頼性を強化できます。
流動性リスクの軽減
資金不足は、企業の事業継続を脅かすリスクがあります。入出金の記録が正確でなければ、資金不足に陥る可能性が高まります。
例えば、銀行口座の残高と会計帳簿の残高が一致せず、資金不足に気づくのが遅れるなどです。リコンサイルにより、資金状況と動きを正確に把握し、資金不足のリスクを低減できます。
法務リスクの軽減
法令違反は、企業に多大な損害を与えるリスクがあります。取引データが法令に準拠していなければ、法的トラブルに巻き込まれる可能性が否定できません。
例えば、税務調査で不正が発覚し、多額の追徴課税を受けるなどが挙げられます。リコンサイルにより、取引データが法令に準拠しているかを確認し、法務リスクを低減できます。
セキュリティリスクの軽減
データ漏えいや不正アクセスは、企業の機密情報が外部に流出するリスクがあります。企業イメージの低下や法的責任が発生する可能性につながります。
リコンサイルによって不正検知の強化ができれば、データの差異発見やアクセスログの照合が可能です。
リコンサイルのやり方【4ステップ】
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リコンサイルのやり方は、以下の4ステップで完了します。
- 正確なデータ収集と環境整備による準備
- 差異の特定と原因究明による比較分析
- 問題解決とプロセス改善
- 定期的な実行と内部統制
正確なデータ収集と環境整備による準備
まずはリコンサイルを行う対象となるデータ(銀行取引明細、会計システムデータ、顧客請求データなど)を明確にします。異なるシステムから取得したデータを、比較・分析しやすいCSV形式など共通の形式に統一します。
また、リコンサイルにExcel、専用ソフトウェアなど使用するツールを選定し、ツールの機能や操作性の把握が必要です。さらに比較するデータ項目(金額、日付、取引先など)を明確にします。
差異の特定と原因究明による比較分析
次に期首残高と期末残高が一致しているかを確認します。取引の金額、日付、取引先コードなどを詳細に比較すれば、差異が特定できます。
差異が生じている場合、入力ミス、業務の滞留、システムエラーなど、可能な限り具体的な分析が必要です。ミス防止には、RPAなどの自動化ツールを用いて、反復的な作業を効率化し、人的ミスを減らすことが有効です。
問題解決と改善
実施事項として入力ミスは修正し、未処理取引は処理するなど、差異の原因を解消しておきます。修正後のデータを再度比較し、差異が解消されていることを確認します。
加えて、リコンサイルプロセスを効率化するための改善点を発見し、自動化、ツールの導入の検討が必要です。手順を体系化し、担当者間の認識のズレの解消が有効です。
また、BIツールなどを活用し、大量のデータを視覚化し、差異を迅速に特定する必要があります。機械学習で異常な取引パターンを自動検知するなどの対策が必要です。
定期的な実行と内部統制
一度実施するにとどまらず、リコンサイルを定期的に実施し問題の早期発見と改善に努めることが必要です。結果を記録し、監査証跡の保存も求められます。
また、規制やシステム変更など、外部環境の変化に対応できる体制整備が不可欠です。リコンサイルの結果としてまとめられたデータのセキュリティリスクを考慮し、アクセス制限やデータの暗号化など、必要な対策を講じなければなりません。
まとめ
リコンサイルは、企業の財務状況を正確に把握し、経営判断の質を高めるために必要な方法です。異なるシステムや部門間で発生するデータの食い違いを解消すれば、企業全体の信頼性向上につながります。リコンサイルを行えば、誤りの迅速な発見、正確な財務状況の把握、内部統制の強化といったメリットが得られます。
自社で全てを導入し解決するには相応の時間と知識が必要です。少しでも不安を感じるなら、経理代行に依頼する方法もあります。
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