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電子領収書とは?導入のポイントや法律上のルールとメリット、デメリットを解説

2025.08.15

電子領収書とは?導入のポイントや法律上のルールとメリット、デメリットを解説

 企業や個人事業主にとって、領収書の発行・管理は日々の業務に欠かせません。しかし、紙の領収書を使うと、印刷代や郵送費、収入印紙の貼付、保管スペースの確保など、さまざまなコストや手間が発生します。これらの負担を軽減し、業務効率を高める手段として注目されているのが電子領収書です。

 そこで本記事では、電子領収書の仕組み、保存要件などについてわかりやすく解説します。

電子領収書とは?

 電子領収書とは、紙の領収書をスキャンや写真で取り込んでデータ化したものや、PDFなどの電子ファイルとして発行される領収書を指します。

 近年では多くのECサイトが脱・紙対応を進め、従来の紙の領収書を廃止し、購入後にWeb上から領収書をダウンロードできる方式を取り入れています。また、メールやチャットツール、オンラインのWebサイトやクラウドサービス、スマホアプリなどで受け渡しされる領収書はすべて電子領収書に含まれます。

 さらに、紙で受け取った領収書でも、スマートフォンのカメラやスキャナで読み込んで電子データにすれば、同様に電子領収書として扱われます。

電子領収書のメリット

発行者側のメリット

 電子領収書の発行者側にとってのメリットは以下の通りです。

発行業務の省力化

 紙の印刷や手書き、押印、発送といった一連の作業を不要にし、発行に要する時間や手間を大幅に減らせます。入力ミスも減り、万一の訂正も迅速に対応できます。

印紙税が不要

 紙の領収書(一定金額以上)には収入印紙を貼付する必要がありますが、電子データの領収書には印紙税が課されません。そのぶんコストを抑えることができます。

受領者側のメリット

 電子領収書の受領者側にとってのメリットは以下の通りです。

経費精算の効率アップ

 スマホでの撮影・アップロードやメール受領で、そのまま経費精算システムに取り込めます。紙を持ち帰る必要がなく、入力や仕訳の自動化も進むため、担当者のやり取りやファイリング作業が激減します。

保管スペースの節約と長期保存が容易

 電子的に保存できるため、物理的な保管場所を大幅にカットできます。劣化の心配もなく、クラウドやサーバーでバックアップを取ることで、長期にわたり安全に保管できます。

検索性の向上

 紙の山から一枚ずつ探す必要がなく、宛名・日付・金額などで瞬時に検索可能。必要な領収書をすぐに取り出せるため、確認作業が格段にスムーズになります。

領収書をデジタル化(ペーパーレス化)する手法

領収書を電子データで管理するには、いくつかの方法があります。ここでは、受領側が主に使う手法と、発行側が導入すべき手法に分けてご紹介します。

スキャナ保存を活用する

 紙の領収書をスキャナや複合機、スマホ・デジカメなどで読み取り、PDFなどの電子ファイルとして保存する方法です。

 電子帳簿保存法上は「重要書類」に分類されるため、帳簿データとの相互関連性を担保する必要があります。また、一定のタイミングでタイムスタンプを付与しなければならない場合もあるので注意が必要です。

  • 対象機器:スキャナ、複合機、スマートフォンカメラなど
  • 留意点:帳簿とのリンク、タイムスタンプ要件 など

電子領収書の発行方法

電子領収書は主に以下の方法で発行できます。

電子領収書発行システムを導入する

 電子領収書を最初からシステム上で作成・発行する方法です。電子帳簿保存法の要件を満たす認証済みシステムを選ぶことが重要で、クラウド会計ソフトの機能を利用すれば、自動的に電子領収書を発行・管理できます。

 選定ポイントとしては電帳法対応の認証取得製品かどうかが挙げられます。

WordやExcelからPDFを生成する

 WordやExcelで領収書を作成し、そのままPDFで保存する方法です。手軽ですが、1枚ずつ手入力になるため、発行件数が多い場合は手間がかかります。

  • メリット:追加システム不要、既存Officeで完結
  • デメリット:発行件数が多いと非効率

電子取引で直接やり取りする

 紙のやり取りをやめ、メールやAPIなどを通じて相手と電子データの領収書を授受する方法です。取引先の合意を得て、電子取引の要件(改ざん防止措置、日付・金額・取引先での検索機能など)を満たす必要があります。

 上記のいずれか、または組み合わせによって領収書のペーパーレス化・電子帳簿保存法対応を進めることができます。ご要望や運用規模に応じて最適な方法をお選びください。

電子領収書導入にあたってのデメリットや注意点

 領収書をデータで管理するメリットは大きい一方で、いくつか押さえておきたいポイントもあります。ここでは、その代表的な留意事項を解説します。

電子署名・電子押印とタイムスタンプの扱い

 電子化した領収書は改ざんを防ぐため、電子署名や電子押印の導入を検討すると安心です。
 また、発行日時を証明するタイムスタンプも併せて活用するとより安全性が高まります。

 ただし、電子帳簿保存法上は必ずしも押印やタイムスタンプが義務づけられているわけではなく、電子帳簿保存法対応のシステムを利用していれば不要になるケースもあります。

再発行への配慮が必要

 一度電子化したデータは簡単に再発行できる反面、不正利用のリスクも増します。

 再発行を行う際は「再発行分」であることを明記し、紙の領収書の回収や原本の取り扱いなど、二重発行を防ぐ運用ルールを徹底しましょう。特に、汚損による再発行の場合は、紙の原本を回収して管理することが重要です。

ファイルへのパスワード設定が必要

 電子データを社内外に安全に配布・保存するため、PDFにパスワードを設定するか、閲覧制限をかけておくことをおすすめします。

 近年はサイバー攻撃による情報漏えいや不正改ざんが問題となっているため、アクセス制御を厳格に行いましょう。また、誤送信による漏えいにも十分注意が必要です。

発行・受領に対応する社内体制の整備が必要

 電子領収書の発行・受領に対応する社内体制の整備としては以下のようなものが考えられます。

発行方法の選定

 Word・Excelで作成してPDFに変換する方法や、専用システムを導入して自動発行する方法など、手段によって業務フローが異なります。自社の規模や運用ニーズ、将来的な効率化を踏まえ、最適な手法を選択してください。

発行ルールの策定

 「誰が、いつ、どのように発行・交付するか」を明文化し、訂正・再発行の手順や発行控えの保管方法まで含めた詳細な運用基準を定めることで、トラブルを未然に防ぎます。

管理責任者と手順の明確化

 「誰が、いつ、どのように電子化し、保存するのか」を社内で共通認識として固めておかないと、申請の遅延や責任所在の不明瞭化を招きます。経費精算システムへのアップロード方法や承認フローを、事前に詳しく定めておきましょう。

保存要件への対応

 電子帳簿保存法に沿って、定められた期間、適切にデータを保管する必要があります。

 安心して運用するには専用システムの導入が望ましいですが、新システムへの適応にあたっては担当者への研修を十分に行い、ストレスなく移行できるようサポート体制を整えてください。

電子領収書は経理アウトソーシングにおまかせ!

 現在発行している紙の領収書を電子領収書に移行すれば、収入印紙を貼る必要がなくなり、印紙税の節約につながります。さらに、領収書原本を保管するためのスペースやコストも大幅に削減できます。

 電子領収書を導入する際は、電子契約サービスを活用して発行から一括管理までをデジタル化すると、業務効率が格段に向上するでしょう。

 ここまで電子領収書について解説してきましたが、ご不明点がある場合などは経理アウトソーシングの利用がおすすめです。

 経理アウトソーシングを利用すれば、社内リソースを本業に集中させられ、繁忙期・閑散期に合わせた柔軟な人員調整が可能になります。導入目的を明確化し、将来的に自社の経理部門を自立運営させる必要性を見定めることが大切です。また、導入後はコスト削減や作業効率向上の成果を定期的に評価し、継続的な改善を進めることが求められます。

 最適な形で経理アウトソーシングを取り入れていきましょう。

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