固定資産の管理方法と種類、固定資産税の基礎知識とポイント

　本記事では、固定資産の基礎知識から種類や管理方法、固定資産税の仕組みについて詳しく解説します。管理方法や税金の計算方法が気になる経理担当者は、実務の参考にしてください。

固定資産とは？基礎知識と種類の解説

固定資産の特徴には、以下3つが挙げられます。

• 固定資産とは土地や家屋と償却資産が含まれる
• 固定資産と償却資産には地方税が課税される
• 償却資産とは土地や家屋以外の事業用資産である

これらを理解できれば、固定資産の管理と経理処理のポイントが把握できるため、詳しく解説します。

固定資産とは土地や家屋と償却資産が含まれる

　固定資産とは、土地や家屋、償却資産などの資産です。地方税法で定義されており、法人や個人の所有物が該当します。

　固定資産に該当すれば地方税が課せられます。これが一般的に言われる固定資産税や償却資産税です。

　事業経費や税金に関わるため、事業資産は管理が重要です。固定資産を理解すれば、正確な資産管理につながります。

固定資産と償却資産には地方税が課税される

　固定資産である建物には、固定資産税が課税されます。償却資産と言われる事業用設備等も償却資産税が課税され、どちらも地方税にあたります。そのため、納付書に記載されている自治体に対して納付が必要です。

償却資産とは土地や家屋以外の事業用資産である

　償却資産とは、土地や建物以外で事業活動に使用する資産です。事業に使用する車両や機械、設備が該当します。事業用資産を持つ法人や個人事業主は償却資産を登録し、税金の申告が必要です。

　償却資産は、一定の耐用年数に応じて経年劣化の部分を減価償却で、費用化します。償却資産の適正管理は、その後の税務申告にもつながるため経理担当者の会計処理は重要です。

固定資産の種類

固定資産の種類は多く、それぞれ異なる用途や取り扱いがあります。ここでは以下2種類に分けて紹介します。

• 代表的な固定資産
• 代表的な償却資産

代表的な固定資産

　代表的な固定資産には建物、機械、車両があります。ただし、車両は大型特殊自動車以外、事業用で使用していない車両は固定資産税の対象外です。そのため、企業の所有物や長期使用する資産が対象になります。

　各資産は会計上、異なる減価償却の耐用年数で管理が必要です。取得金額や耐用年数に応じて減価償却費を計上するため、正確な資産分類が適切な会計処理につながります。

代表的な償却資産

　償却資産には事業用の事務機器が含まれます。償却資産は耐用年数に基づき減価償却の処理が必要です。

　会計処理により償却費用は、資産価値を減少させます。事業用の償却資産は毎年の償却資産税の申告対象です。法人税と地方税の減価償却方法は耐用年数をはじめ異なる場合があるため、正確な計算が必要です。

固定資産の管理方法と業務フロー

固定資産管理に必要な内容には、以下3つが挙げられます。

• 固定資産管理の目的と基本的な業務フロー
• 固定資産台帳の作成による管理
• 管理台帳が作成できないときはシステムを導入する

適切な管理方法を導入すれば、無駄のない管理ができるため、詳しく解説します。

固定資産管理の目的と基本的な業務フロー

　固定資産管理は、資産の有効活用と損失防止が目的です。産購入から廃棄までのライフサイクル管理と言えます。

　管理には、固定資産台帳を活用し、正確性が求められます。定期的に棚卸しを実施し、資産の実態と帳簿の整合性の確認が必要です。適正な管理は経営の透明性向上にもつながります。

固定資産台帳の作成による管理

　固定資産台帳は資産の取得日や価額を記録するための帳簿です。資産の減価償却や売却時の処理に必要な情報を入力します。

　効率的に行うため、管理方法にはエクセルやクラウド管理システムを使用する企業が増加しています。

　台帳の定期的な更新を実施すれば、資産の実態把握に役立ちます。また、適切な台帳管理が会計処理の正確性保持のためにも必要です。

固定資産管理の注意点

固定資産管理には、以下3つの注意点があります。

• 固定資産の移動や廃棄手続き
• 固定資産管理のセキュリティ対策
• 現物管理と会計管理の違い

これらの注意点を理解すれば、固定資産税の申告だけではなく、資産管理の質が向上します。

固定資産の移動や廃棄手続き

　資産移動時には、管理台帳の更新が必要です。廃棄処理は、資産の帳簿から除却する作業をともないます。申告書にも、日付の記載が必要になるため、記録を残しておくことが重要です。

　資産の移動・廃棄には償却資産税の納税額が変動する可能性があり、企業によっては、社内承認（稟議）が必要になることもあります。

　台帳管理は移動履歴を追跡し、正確な管理を可能にします。適正な手続きは役所からの監査対応にも有効です。

固定資産管理のセキュリティ対策

　固定資産の保管場所によってはセキュリティ対策が必要です。固定資産だけではなく、資産データは社内システムで厳重な管理が求められます。

　定期的なチェックで管理体制の見直しを図ることが必要です。資産管理担当者には、セキュリティ教育の時間を割かなければなりません。とはいえ、情報漏洩の防止に取り組めば、リスク回避に役立ちます。

固定資産税とは？計算方法と納付のタイミング

固定資産税には以下の3つが関係しています。

• 固定資産税の計算方法と納税方法
• 固定資産税の通知書の送付時期
• 固定資産税と都市計画税の違い

これらの基礎知識を理解すれば、適切な管理ができます。

固定資産税の計算方法と納税方法

　固定資産税は、評価額に税率を掛けて計算します。通常、自治体により評価額に差は生じにくいものの、各自治体による査定に基づくため確認が必要です。

　毎年、税額が決定され、定められた期日までに納付します。納税方法は、インターネットや銀行窓口からの納付です。企業によっては、納税額が多額になる場合もあるため、適切な納税計画が資金繰りにも役立ちます。

固定資産税の通知書の送付時期

　固定資産税の通知書は毎年4〜6月頃に送付され、自治体により時期は異なります。納付は年4回に分かれており、一括納付も可能です。

　各自治体が評価額を基に税額を算定し、通知を実施します。通知書には納付額や期日が記載されているため、確認が必要です。正確な管理ができていれば、自治体が1月1日の現況で課税額を算定しているため、余裕を持った納税準備ができます。

納税準備ができていれば、期日納付が可能になり延滞税などのリスクを回避できます。

固定資産税と都市計画税の違い

　固定資産税と都市計画税は、課税対象や税率が異なります。固定資産税の標準上限は1.4%、都市計画税の制限上限は0.3%以内です。

　固定資産税は土地・家屋・償却資産に課税される税金であり、都市計画税は都市整備の目的で特定区域に課される税金です。都市計画税の対象区域は自治体により指定されているため、企業側が何かをする必要はありません。

まとめ

　本記事では、固定資産の定義や種類、管理方法、税金の基本情報について解説しました。これらを把握することで、資産管理が効率化され、税務処理の適正化につながります。

　固定資産にともなう管理対象や、税務周りでチェックしておくべき概要や注意点を記載いただき、ご不安があれば経理代行に依頼する方法も検討すると良いでしょう。

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