「マイグレーションという言葉を聞いたことはあるけれど、実際にどんなことをするのかよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか。マイグレーションとは、古いシステムの新しいシステムへの移行を指し、業務の効率化やコストの削減、セキュリティの強化といった多くのメリットが期待できます。
そこでこの記事では、マイグレーションの基本的な知識から、会計システムのマイグレーションを成功に導くためのステップまでをわかりやすく説明します。
ぜひこの記事を参考にして、会計システムのマイグレーションをうまく進めましょう。
マイグレーションとは
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マイグレーションとは、既存システムを新しい環境へ移行することです。ハードウェアの交換やソフトウェアのバージョンアップも含まれており、オンプレミス型で運用していたシステムをクラウド環境へ移行するという事例も増えています。
企業がマイグレーションを実施する理由は様々ですが、一般的にはシステムの老朽化、機能不足、セキュリティリスクの増加などの課題を解決するために行われます。
会計システムの主な機能
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この章では会計システムの主要な機能について解説します。財務会計と管理会計がメインの機能であり、基本的にオンプレミス型でもSaaS型でも変わりません。
また、関連する分野として債権債務管理、資金管理、固定資産管理、購買管理といった機能も含まれます。これらは一部他部門の管轄領域となる場合もありますが、経理処理に関わる要素であるため、会計システム内で取り扱われることが一般的です。
財務会計に関する機能
日々の経理業務を処理するだけでなく、会計データを整理し、外部向けに財務諸表を作成する役割を担います。会計システムの基本機能ともいえる主要な部分です。具体的には以下のような機能が含まれます。
・日常的な伝票入力や自動仕訳
・データ連携を活用した入力機能
・会計帳簿の作成および各種帳票の出力
・試算表、財務諸表、決算書の自動作成
近年では、仕訳帳や総勘定元帳といった帳簿類を紙で管理する代わりに、電子データとして保存できる電子帳簿保存法に対応したシステムも増えています。
管理会計に関連する機能
経営判断を支援するため社内向けの帳票を作成し、財務会計データを事業別、プロジェクト別などに分類・分析する機能です。前年度との比較や業績の推移を示す表やグラフなど、多様なレポートを作成可能でその内容は企業ごとに異なります。管理会計の主な機能には以下が含まれます。
・予実管理
・経費管理
・データ分析・シミュレーション
さらに、管理会計では財務データに加え、販売データや人事データを統合して資料化することが一般的です。
債権債務の管理機能
支払手形や買掛金といった債務を管理する『債務・支払管理機能』と、債権の回収を管理する『債権管理機能』を統合したシステムです。この機能は企業の『出金』と『入金』を管理する役割を果たし、それぞれ独立したシステムとして運用されることも多く、企業ごとに運用方法が異なります。
債務・支払管理機能は主に以下の機能で構成されます。
・債務の管理
・支払消込
・支払分析
一方、債権管理機能は以下の機能で構成されます。
・債権の管理
・入金消込
・債権回収の支援
これらの機能の中でも特に債権債務については、自社の運用ニーズに合った機能が含まれているかを確認する必要があります。機能が不足している場合は、追加開発が必要となるケースもあります。
会計システムのマイグレーションのタイミング
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この章では会計システムの移行を検討するタイミングの内、主なものを説明します。
サポートサービスが終了する場合
パッケージ型会計ソフトはサポート期限が定められており、期限を迎えるとバージョンアップに費用が発生します。このため、サポート終了時にソフトウェアの更新や新しいシステムへの移行を考慮する企業が多くなります。また、ハードウェアやOSのサポート終了も同様です。
企業規模や事業内容が変化した場合
事業の拡大や多店舗展開により、会計業務が複雑化することがあります。拠点間で分散入力が可能なシステムや、クラウド型会計ソフトへの移行を検討することが推奨されます。
経営状況を迅速に把握する必要がある場合
経営戦略として早期決算を目指す企業では、会計ソフトの更新を通じて経営状況をリアルタイムで把握できるようにすることが重要です。迅速な意思決定を行うためには、月次決算を早期に報告する体制が必要なのでマイグレーションが実施されます。
新たな業界への進出を計画している場合
異業種進出やM&Aに伴い、業態に特化した会計ソフトの導入が求められることがあります。
経営戦略や方針が変わった場合
事業が成長するにつれて、求められる会計機能も変化します。初期の会計システムでは管理会計の機能が不足していることがあり、成長に伴いより高度な経営指標を管理できるシステムへの移行が必要です。
法令の改正に対応する必要がある場合
消費税率の変更やIFRS対応などの法改正に伴い、会計ソフトの更新が求められることがあります。
他の業務ツールとの連携が必要になった場合
請求書発行、経費申請、支払管理など、他の業務ツールとの連携が重要になった場合、システム間の統合が求められます。
マイグレーションの流れ
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会計ニーズと法規制の理解
会計ニーズと法規制の理解は不可欠です。自社の会計ニーズを把握し、適用される法規制や業界のガイドラインを調査することが重要です。例えば、インボイス制度や電帳法に対応するために、法令に基づいた計算方法をシステムに組み込む必要があります。
現行システムの調査と分析
次に現行システムの調査と分析を行い、現在使用しているシステムの機能や制約を洗い出します。これにより、新システムが旧システムと同じ問題を繰り返さないようにできます。
外部コンサルタントの活用
マイグレーションには、ダウンタイム、予期しない要件変更、セキュリティ上の懸念など、さまざまな困難が伴う可能性があります。そこで外部コンサルタントを活用するのがおすすめです。
外部コンサルタントはクラウドの準備状況を評価し、クラウド戦略の実行を成功に導くための支援を行い、効率向上やコスト削減などの実現を支援します。
新システムの目標設定と要件定義
そして新システムの目標設定と要件定義を行います。具体的な目標を設定することで、システム選定がスムーズに進みます。
例えば、「月次報告を○日以内に提出する」や「経費精算の時間を平均〇分以内にする」などの目標を設定します。目標が明確であれば、システム導入後の評価も容易になります。
ベンダーの比較
複数のベンダーから提案を受け、最適なシステムを選ぶためにRFP(Request for Proposal)を作成します。ベンダー選定では、機能やサポート体制、価格などを慎重に比較し、社内ニーズに最適なシステムを選ぶことが求められます。システムのデモを受け、実際の操作感やユーザーインターフェース(UI/UX)を評価することも重要です。
コスト分析と予算設定
システムの導入コストだけではなく、運用コスト・メンテナンス費用なども含めた長期的な予算を立てます。契約交渉の際には、費用やサポート内容をしっかり確認し、クラウドシステムの場合はランニングコストについても交渉が必要です。
システム導入
実際のシステム導入には、詳細な実装プランとリソース計画が必要です。システム導入に伴うスケジュールやリソース配分を計画し、スタッフの負担を最小限に抑えるような配慮が求められます。さらに、導入後のテストや調整を行い、システムが問題なく動作するかどうかを確認します。テストで問題が発見された場合、修正を加えて問題解決を図ります。
社内トレーニング
システム導入後には社内トレーニングを実施し、新しいシステムの使い方をスタッフに周知します。これにより、システムがスムーズに運用されるようになります。また、旧システムから新システムへのデータ移行を行い、正確にデータが移行されたことを確認します。
これらをしっかりと進めることで、会計システム導入が成功し、長期的に効率的な運用が可能になります。
まとめ
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この記事では、マイグレーションの基本的な知識から、成功させるためのステップなどについて解説しました。マイグレーションにより、既存のシステムを新しい環境へ移行すれば、業務の効率化、コスト削減、セキュリティの強化といったさまざまな利点をもたらします。
マイグレーションを検討している皆様は、ぜひこの記事を参考にして実施してみてください。
なお、会計業務の効率化にはマイグレーションの他にも会計アウトソーシングの利用もおすすめです。是非ご利用をご検討ください。
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