財務分析とは?基本の手順と押さえるべき4つのポイントを解説

2025.03.07

財務分析とは?基本の手順と押さえるべき4つのポイントを解説

 

 財務分析とは貸借対照表・損益計算書などの決算書を基に、企業の収益性、安定性、生産性、成長性を評価することです。

財務分析は、企業の経営状態を把握し、問題点を明確にするために不可欠です。多くの指標を理解することで、様々な観点から経営の現状を把握することが可能になります。

この記事では、外部分析の基本的な知識と、分析に必要な4つのカテゴリーについて詳しく解説します。

財務分析とは?

 財務分析は、企業の財務状況を把握するために行われる重要なプロセスであり、その実施者に応じて「内部分析」と「外部分析」に分類されます。

それぞれの分析の目的や使用する情報の種類が異なるため、企業の経営改善や戦略的意思決定、または外部の投資家や金融機関による評価において、異なる視点からアプローチされます。

内部分析

 内部分析は、企業の経営者や内部の関係者(経営企画部門、経理部門など)が主体となって行う分析です。

この分析の主な目的は、経営の意思決定や経営計画の策定、そして業務改善を目指すことにあります。例えば、経営者は企業の資金繰りや利益構造を理解し、事業戦略の調整や予算編成、コスト削減などに役立てることができます。

 内部分析では、貸借対照表(バランスシート)や損益計算書(PL)など、企業の財務諸表を基に分析が行われることが一般的です。

企業内部にしかアクセスできない詳細なデータや実績、予算計画、部門別の業績評価などが使用される場合もあり、このような情報は外部のステークホルダーには公開されていません。そのため、内部分析は経営陣や関連部門が主導し、組織の内部の状況を細かく理解することが目的となります。

外部分析

 外部分析は、企業の外部にいる関係者、例えば融資を行う金融機関、企業アナリスト、投資家、取引先企業などが行います。

この分析は、企業の外部からの視点で、企業の財務健全性や将来の見通しを評価することを目的としています。外部分析には、企業の信用力や成長性、収益性に関するさまざまな評価が含まれます。

 信用分析は、企業が将来にわたり債務を適切に支払えるかどうかを評価するために行われます。これは主に金融機関や投資家が行い、企業の返済能力を判断するために使用されます。

融資を行う際に、企業が債務不履行に陥るリスクを減らすため、過去のキャッシュフロー、負債比率、利益の安定性などが評価されます。

 投資分析は、企業の成長性や収益性を評価するために行われます。投資家はこの分析を通じて、企業が今後成長するポテンシャルがあるか、または投資に対して十分なリターンを期待できるかどうかを評価します。

企業アナリストや金融機関などは、企業の株価動向、債券の利回り、業界の競争環境なども加味して、企業全体の将来の見通しを立てます。

財務分析の4つの視点

ポイント1:収益性の分析

売上高総利益率

売上高総利益率は、企業が主な業務でどれだけ利益を生み出しているかを確認するための指標です。計算式は以下の通りです。

売上高総利益率=売上総利益÷売上高× 100

売上高総利益率が高いほど、営業利益も増加します。売上高総利益率は、業界ごとに特有の要因があります。

利益率の根本的な違いに加え、業界の取引慣行や競争状況などが売上高総利益率に大きな影響を与えます。収益性分析を行う際は、業界の特性を考慮することが重要です。

売上高営業利益率

売上高営業利益率は、企業が営業活動を通じて得た利益を示す指標です。計算式は以下の通りです。

売上高営業利益率=営業利益÷売上高× 100

売上高営業利益率が高いということは、提供する商品やサービスの価値が高く、かつ営業活動が効率的に行われている可能性が高いことを意味します。

 一般的に、売上高営業利益率は売上高経常利益率よりも高くなる傾向があります。もし売上高経常利益率が高い場合は、営業活動以外の収益(例えば、投資利益など)が多かったことを示しています。

売上高営業利益率が低い場合、顧客の新規開拓や既存顧客の維持に向けた取り組みが必要です。また、商品価格を引き上げたり、高価格帯の商品を推進するなどの戦略も有効です。

ポイント2:安全性の分析

安全性分析の目的は、企業の資金繰りの健全性を評価することです。これにより、「倒産リスクの有無」を把握できます。

たとえば、「黒字倒産」のように収益が増加していても財務が健全とは限らないため、収益性分析と同様に重要な指標となります。

流動比率

流動比率は、1年間のキャッシュインでキャッシュアウトをどの程度賄えるかを判断する指標です。計算式は以下の通りです。

流動比率=(流動資産 ÷ 流動負債)× 100

一般的に、100%を下回る場合は、資金繰りに注意が必要です。

自己資本比率

自己資本比率は、自己資本によってどの程度資産がカバーされているかを示す指標です。計算式は以下の通りです。

自己資本比率 =(純資産 ÷ 総資本)× 100

この比率が高いほど、総資本のうち返済義務のある負債(他人資本)の割合が低く、財務の健全性が高いと判断できます。

ポイント3:生産性の分析

生産性分析は、ヒト・モノ・カネという経営資源がどれだけ効率的に成果を上げているかを把握するための分析です。

労働生産性

労働生産性は、企業が付加価値を生み出すために人件費をどれだけ効率的に活用しているかを示す指標です。計算式は以下の通りです。

労働生産性(円)= 付加価値額 ÷ 従業者数

付加価値額は、売上から売上原価を差し引くなどして算出します。この労働生産性が高ければ、従業員1人あたりの生産性が高く、人件費を効率的に活用できていると評価できます。

逆に、労働生産性が低い場合は、業務フローに無駄がないか、改善の余地がないかを確認する必要があります。

ポイント4:成長性の分析

売上高成長率

売上高成長率は、1会計期間で売上高がどれだけ増加したかを把握するための指標です。計算式は以下の通りです。

売上高成長率 =(当期売上高 - 前期売上高) ÷ 前期売上高 × 100

売上高成長率は、前期の売上高と当期の売上高を比較して求めます。売上高成長率が高い場合、その事業が成長していることを意味しますので、数値が高ければ高いほど望ましいとされます。

増益率

増益率は前期に対する経常利益の増加を示します。増益率(%)は、次の式で求められます。

増益率(%) = (当期経常利益 - 前期経常利益) ÷ 前期経常利益 × 100

売上が増えても、必ずしも利益が増えるわけではないため、増収率と増益率の両方を確認することが重要です。

経理担当者に求められる財務分析スキル

 今後も安定した経営を続けるためには、財務分析のスキルを高めることが重要です。日頃から財務状況を把握しておけば、問題が発生した際にも迅速に対応することができます。

また、近年では経理業務の自動化が進み、経理担当者に求められるスキルも高度化しています。

 まずは、自社の決算書を理解し、課題や強みを分析することから始めるとよいでしょう。さらに、将来的には同業他社との比較を行い、経営計画の策定に活かせるようになることが理想です。

まとめ

 企業の財務分析において、正確で信頼性の高い決算書の作成は欠かせません。しかし、決算書作成は非常に手間がかかり、特に決算期には膨大な時間と労力を要します。これにより、経営者や担当者が本来の業務に集中することが難しくなることもあります。

このような負担を軽減するために、経理業務を専門のアウトソーシング会社に委託することを強くお勧めします。

 経理アウトソーシングを活用することで、専門家が最新の税法や会計基準に基づいて決算書を作成し、正確な財務情報を提供します。税務申告や財務報告書の提出が迅速かつ正確に行われ、企業の法的義務を果たすことができます。また、アウトソーシングによって、企業内での経理部門の負担が軽減され、経営者やスタッフは戦略的な意思決定やその他の重要な業務に集中することができます。

 さらに、外部の専門家による経理業務の管理は財務分析の精度向上にも寄与します。経理担当者が最新の会計基準に精通しているため、企業の財務健全性をより明確に把握することが可能となります。

経理アウトソーシングを利用すれば、コスト面でも効率的に運営することができ、長期的なビジネス成長に繋がります。

今回の記事が皆様の財務分析に関する理解を深めるきっかけとなれば幸いです。

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