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未払金と未払費用の違いをわかりやすく解説!決算時の仕訳や判断基準とは

2026.01.20

未払金と未払費用の違いをわかりやすく解説!決算時の仕訳や判断基準とは

企業の経理担当者にとって、決算期は一年の中で最も神経を使う時期ではないでしょうか。特に、期末時点で支払いが完了していない経費の取り扱いは、正確な損益計算を行う上で非常に重要です。

その中で頻繁に生じる疑問が「未払金」と「未払費用」の違いです。どちらも「まだ支払っていないお金」という意味では同じですが、会計上の定義や計上のタイミングは明確に異なります。これらを混同してしまうと、決算書の信頼性が損なわれるだけでなく、税務調査などで指摘を受けるリスクも生じます。

本記事では、未払金と未払費用の違いを定義から具体的な事例、仕訳方法まで詳しく解説します。正しく理解して、ミスのない決算業務を目指しましょう。

未払金と未払費用の違いとは?定義と判断基準

経理の実務において、未払金と未払費用を使い分けるポイントは「取引の性質」にあります。まずはそれぞれの定義と、判断の基準となる考え方を見ていきましょう。

未払金とは「単発の取引」で生じる債務

未払金(みばらいきん)とは、本来の営業活動以外の取引において、すでにモノやサービスの提供を受けているものの、代金が未払いである状態を指す勘定科目です。

ここで重要なキーワードは「単発の取引」と「役務提供の完了」です。 例えば、会社の備品としてパソコンを購入し、翌月に代金を支払う場合などが該当します。この時点でパソコンという「モノ」は手元にあり、取引としての役務提供は完了していますが、支払いだけが済んでいない状態です。

このように、継続的な契約に基づかない、その場限りの購入や契約において発生する後払い債務は、基本的に「未払金」として処理を行います。

未払費用とは「継続的なサービス」で生じる債務

一方、未払費用(みばらいひよう)は、一定の契約に従って「継続的に役務の提供を受ける」場合に使用される経過勘定科目です。

企業会計原則において、未払費用は以下のように定義されています。 「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう」

分かりやすい例としては、借入金の利息や、事務所の家賃、従業員の給与などが挙げられます。これらは時間の経過とともに費用が発生し続けるものであり、決算日時点で「当期に発生しているが、支払日は翌期である」という部分を計算して計上する必要があります。

つまり、時間の経過に伴って発生する継続的なサービスの対価であり、支払期日が到来していないものが「未払費用」となります。

買掛金との違いについても整理

未払金や未払費用とあわせて理解しておきたいのが「買掛金(かいかけきん)」です。 買掛金は、その企業の「主たる営業取引」によって生じた未払い代金を指します。

例えば、商品を仕入れて販売する小売業の場合、販売するための商品を仕入れた代金の未払分は「買掛金」となります。一方で、その店舗で使用する文房具を購入した代金の未払分は、営業活動のための物品であっても商品そのものではないため「未払金」となります。

  • 買掛金:販売目的の商品や材料の仕入れ(主たる営業活動)
  • 未払金:備品購入など単発の取引(主たる営業活動以外)
  • 未払費用:家賃や利息など継続的なサービス(時間の経過により発生)

このように、「何の目的で」「どのような契約で」発生した債務かによって科目を使い分けることが求められます。

具体的な勘定科目の使い分け事例

定義だけでは判断に迷うケースも多々あります。ここでは、実務でよく遭遇する具体的なシーンを挙げ、どの勘定科目を使用すべきかを解説します。

給与の締め日と支払日が異なる場合

多くの企業では、給与の「締め日」と「支払日」が異なります。 例えば「20日締め・翌月10日払い」の会社で、3月31日が決算日の場合を考えてみましょう。

3月21日から3月31日までの期間、従業員はすでに労働という役務を提供しています。しかし、この期間の給与が支払われるのは4月10日です。この「3月21日〜3月31日分の給与」は、当期の費用として計上しなければなりません。

労働契約は継続的な契約であるため、原則として「未払費用」を使用します。ただし、実務上は「未払給与」という独立した科目を使用する場合や、確定債務として「未払金」で処理する場合もありますが、概念としては未払費用の性質を持ちます。

クレジットカードで消耗品を購入した場合

法人カード(クレジットカード)を使用して、事務用品や消耗品を購入した場合はどうでしょうか。 クレジットカード決済は、購入時点で商品は手に入りますが、口座からの引き落としは翌月以降になります。

この場合、事務用品の購入は「単発の取引」であり、すでにモノの引き渡しが完了しています。したがって、使用する勘定科目は「未払金」となります。 なお、勘定科目の補助科目として「未払金(カード口)」などを設定しておくと、後から管理がしやすくなるためおすすめです。

水道光熱費や家賃の支払いの場合

事務所の家賃や、水道光熱費はどうでしょうか。 家賃は賃貸借契約に基づき継続的に場所を借りているため、典型的な「継続的な役務提供」にあたり、「未払費用」の性質を持ちます。

しかし、実務上では重要性の原則に基づき、毎月定額で支払われる家賃などは、支払った月に費用計上し、経過勘定(未払費用)の計上を省略することも認められています。 ただし、厳密な期間損益計算を行う場合や、金額が大きく変動する水道光熱費などで、検針日から決算日までの利用分を計上する場合には「未払費用」を使用するのが適切です。

未払金と未払費用の仕訳方法

ここからは、実際に会計ソフトなどで入力する際の仕訳方法について解説します。特に未払費用は、翌期首の処理を忘れると二重計上になってしまうため注意が必要です。

未払金の発生時と支払時の仕訳

未払金の処理は比較的シンプルです。発生時(購入時)と決済時(支払時)にそれぞれ仕訳を行います。

【例】決算月に10万円のパソコンを購入し、代金は翌月に支払う場合

  • 1. 発生時(購入日) 借方:工具器具備品 100,000円 / 貸方:未払金 100,000円 ※消耗品費として処理する場合もあります。
  • 2. 決済時(支払日) 借方:未払金 100,000円 / 貸方:普通預金 100,000円

このように、購入時に負債として計上し、支払時にその負債を消し込むという流れになります。

経理業務の負担を軽減するために

決算整理における未払金や未払費用の計上は、細かな確認作業が必要であり、経理担当者にとって大きな負担となります。

複雑な勘定科目管理のリスク

未払金と未払費用を厳密に区分けし、毎期正確に計上し続けることは、高度な会計知識と管理能力を要します。もし判断を誤り、本来計上すべき費用が漏れてしまうと、利益が過大に計上され、本来支払う必要のない税金を支払うことになります(過大納付)。逆に、過剰に費用を計上すれば脱税を疑われる可能性もあります。

また、担当者が退職した際に、どのような基準で未払費用を計算していたかが引き継がれず、計算根拠が不明確になるという属人化のリスクも抱えています。

アウトソーシング活用のメリット

こうしたリスクを回避し、決算業務をスムーズに進めるためには、経理業務のアウトソーシング(BPO)を活用するのも一つの有効な手段です。

専門知識を持つプロフェッショナルに記帳代行や決算業務を依頼することで、勘定科目の正確な判断や、税法改正への対応などを任せることができます。特に、「毎月の仕訳入力に時間がかかりすぎている」「決算月になると残業が常態化している」という企業にとって、アウトソーシングは業務効率化と品質向上の両方を実現する解決策となり得ます。

社内のリソースをコア業務に集中させ、正確かつ透明性の高い会計処理を実現するために、外部の力を借りることも検討してみてはいかがでしょうか。

未払金と未払費用に関するよくある質問(Q&A)

最後に、未払金と未払費用の取り扱いに関して、よく寄せられる質問にお答えします。

Q1.未払金と未払費用を間違えると税金に影響しますか?

A.法人税法上の取り扱いや要件が異なるため、注意が必要です。未払費用を当期の損金(経費)として算入するためには、一般的に「債務が成立していること」「金額が合理的に算定できること」「相手先が特定されていること」といった要件を満たす必要があります。また、消費税の仕入税額控除の時期や、銀行融資の審査における評価にも関わります。決算書の信頼性を担保するためにも、明確に区分して計上することが重要です。

Q2.決算時に未払費用を計上し忘れた場合はどうなりますか?

A.決算時に未払費用の計上を忘れると、当期の費用が過少になり、その分利益が過大に計算されます。

結果として、本来支払うべき額よりも多くの法人税等を納めることになります。翌期に修正することは可能ですが、手続きが煩雑になったり、税務署からの心証が悪くなったりする可能性があります。「費用の発生主義」に基づき、漏れなく計上することが原則です。

Q3.短期借入金と未払金の違いは何ですか?

A.短期借入金は、金銭消費貸借契約に基づき「現金の貸し借り」によって生じた債務です。一方、未払金は、物品の購入やサービスの利用など「営業取引以外の商取引」によって生じた債務です。 

「お金を借りた」のか、「モノを買って代金が後払いなのか」という発生原因の違いで区別します。どちらも1年以内に支払う流動負債ですが、キャッシュフロー計算書上の区分などが異なるため、明確に分ける必要があります。

まとめ:未払金と未払費用の違いを理解して正確な決算を

未払金と未払費用は、どちらも決算において重要な負債科目ですが、その性質には明確な違いがあります。

  • 未払金:単発の取引で、すでに役務提供が完了している確定債務
  • 未払費用:継続的な契約に基づき、時間の経過とともに発生する経過勘定

これらを正しく使い分け、適切な時期に費用計上することは、適正な期間損益計算を行うための基本です。また、翌期首の再振替仕訳など、特有の処理を忘れないようにすることも大切です。

自社での判断が難しい場合や、処理件数が多く管理が煩雑な場合は、専門家のアドバイスを仰ぐか、経理のアウトソーシングサービスの導入を検討することをおすすめします。正確な会計処理を行い、健全な経営管理体制を構築していきましょう。

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